2014年4月8日火曜日

破産と破産手続について

今日は破産と破産手続について書こうと思います。

借金が多すぎて返済できない、支払い請求と金策に明け暮れて日々の業務が進まない、心機一転再起を図りたい・・・・・。長引く経済の低迷により、お金の問題でお悩みの個人の方、会社関係者の方が増えています。

一言で「お金の問題」といっても、個々人に応じてその内容は原因は異なります。そして、その内容や原因に合わせて、それを解決する最適な手続きが異なります。
代表的な手続として、破産申立て再生申立て私的整理(ADR)の3つがありますが、それぞれに以下のような特徴があります。

例えば、ローン返済中のマイホーム、業務上不可欠な工場・工作機械など、残したい財産がある場合には、原則全てを処分する「破産申立て」ではなく、それらを残して整理する「再生申立て」「私的整理」が適切である場合があります。

また、すでに債権者の大半が債務カットに応じてくれている場合、債権者がメインバンクのみであるなど債権者が少ない場合には、裁判所が審査する分時間がかかる「破産申立て」よりも、スピーディーに解決できる「私的整理」の方が適切な場合があります。

そして、債務者にほとんど財産が残っていない場合、債務が多額で返済が困難な場合には、「破産申立て」によって全て処分した方が、早期の再出発のために有効な場合があります。

以下では、最も代表的な手続である「破産手続」について説明致します。

破産手続においては、① 破産申立て、② 裁判所による破産管財人の選任、③ 破産管財人による財産管理(財産の換価・処分)、④ 裁判所による債務の免責決定、という流れで進むのが通常です。

また、債務者の財産が一定基準を満たさない場合(財産が極めて少ない場合)には、破産申立てをして、管財人による財産管理を経ずに、手続が終了する場合もあります(「同時廃止」といいます)。この場合は破産申立てのみで手続が終了するので、短期間で免責を受けることができます

破産申立ては膨大かつ綿密な財産調査、債務超過に至った理由、手続に必要な書類の作成など、高度な法律知識が必要です。
また、破産申立て時に必要な情報が整理されていれば、その後の破産管財人の事務処理もスムーズにいきますし、免責決定まで迅速に進めることができます
そして、破産申立時に同時廃止の要件を満たしている場合には、申立してすぐに免責決定を得ることができるので、迅速な問題解決を図ることができます

また、再生であれば、債務者は債権者を説得できるだけの再生計画を作成しなければなりませんし、私的整理では、個別の債権者を説得して債務カットに応じてもらわなければなりません。

このような手続や交渉は、高度な法的知識が必要となりますし、当事者同士では意見が対立して交渉がうまく進まないことが多いです。そのような場合は、法律のプロであり、第三者的立場である弁護士を間に入れて交渉することで、スムーズに問題が解決することもございます。

現在の生活を変えるため、そして、新たな人生の再出発のために、「お金の問題」でお困りの方は、破産や再生、私的整理を検討してみてはいかがでしょうか。


以下では、参考までに各手続の概要を記載しておきます。

「破産」とは、債務者が債務超過等の場合に、既存の財産を全債権者に対して原則平等に分配するとともに、債務者の債務(借金や支払い義務など)を免責するものです。基本的に裁判所が中心になって手続が進むので、公平性・公正さが重視されます。その分、提出書面の数も多く期限も厳格に定められています。当然時間もかかります。

「再生」とは、債務者が、自己の将来の収入によって、一定の額の債務を分割して返済する計画(これを「再生計画」と言います。)を作成します。裁判所は、作成された計画を債権者の決議に付します。債権者により再生計画が可決された場合、裁判所はその再生計画を認めるか否かの判断をします。再生計画が裁判所に認められた場合には、債務者は、その計画に従った返済をすることで、残りの債務が免除されます。

「私的整理」とは、裁判所を介さずに、債権者と個別に交渉して債務カットの合意を得ることです。裁判所を介さない分時間がかかりませんが、債権者全員の合意が必要になりますので、友好的な債権者が多い、債権者がメインバンクだけといった場合に利用できます。