2014年2月24日月曜日

離婚におけるお金の問題について

今日は離婚におけるお金の問題について書こうと思います。

離婚を考える上で、離婚後に生活をしていけるかという点は重要であると思います。
離婚後の収入、生活費、子どもの養育費などを考えると、離婚したくても離婚できないという方もおられるのではないでしょうか。

お金の面で離婚の際に問題になるのは、主に以下の3つです。

① 財産分与(結婚してから離婚又は別居するまでの夫婦の共有財産を分割すること)
② 婚姻費用分担請求(別居してから別居解消又は離婚するまでの生活費を請求すること)
③ 養育費(離婚してから原則として子どもが成人するまでの子どもの生活費等)

①財産分与とは、夫婦が結婚してから築き上げた共有財産を原則として半分ずつに分割して分け合うことをいいます。

つまり、結婚後に貯めた預貯金、購入した不動産、投資している株式等の金融資産、生命保険等の保険金請求権などについて、夫名義・妻名義を問わず原則として夫婦の共有財産として半分ずつ分けます。
たとえ夫名義の不動産であっても、その原資が婚姻後の夫又は夫婦の給与からでていれば共有財産となり、財産分与の対象となります。
夫が働いて給与を得ることができるのも、妻の協力があるからこそなので、専業主婦の方々も当然財産分与を請求できます。

もっとも、「夫婦が共同して築き上げた財産」とはいえないもの、例えば、結婚前から保有していた預貯金や不動産、婚姻中に他から受けた贈与や相続により取得した財産などは、当人の「固有財産」となり、財産分与の対象にはなりません。

このように夫婦の共有財産を半分に分けるので単純そうに思うのですが、現実には一方又は双方が自分名義の預貯金等を隠して、財産分与の対象財産に加えず、こっそり独り占めしようとするケースもあります。
一概には言えませんが、夫の収入は妻が管理していて夫は預貯金について一切把握していないケース、また妻は夫から毎月生活費をもらうだけで妻は夫の収入はもちろんその使い途も把握していないケースでは、実際に離婚の話合いになってから、共有財産の総額や相手が財産を隠しているのではないかということで揉めるケースが多いです。

夫婦の収入はあくまで「夫婦の共有財産」なのですから、お互いその額や使い途、預貯金の額は把握しておくことをお勧めします。

また、離婚を決意された場合は、相手方が預貯金等を隠してしまうことを防止するため、離婚の話合いをする前に弁護士に相談して対抗策を練られることをお勧めします。

次に、②婚姻費用分担請求ですが、これは別居後から別居解消又は離婚までの生活費を相手方(主に妻から夫へ)に請求するものです。
これには妻の生活費だけでなく子どもの養育費も含まれます(妻と子どもが一緒に生活している場合)。

ここで注意が必要なのは、婚姻費用分担金は「婚姻費用分担請求の申立てのときから」認められるというものです。たとえ別居していても、実際に申立てをしていなければ認められません。
そして、あくまで「婚姻費用」の分担ですから、離婚してしまえば発生しません。

もっとも、同居していても全く生活費が支払われていないという場合には、別居していなくても、婚姻費用分担請求が認められたというケースがあります。生活の実態にもよるのですが、詳しくは弁護士にご相談ください。

そして、③養育費ですが、これは離婚してから子どもが成人するまで子どもの養育費用を負担することです。
これは、子どもの年齢にもよりますが、比較的長期になることも多く、また途中で支払がなされなくなるケースもありますので、離婚の際にしっかりと決めておかなくてはなりません。

養育費は子どもの生活や教育にとって非常に重要なものですから、養育費に関する条項は是非とも離婚協議書として書面化した上で公正証書にしておくことをお勧めします。
公正証書としておけば、仮に養育費の支払いが途絶えても、すぐに相手方の財産を差し押さえることができます。特に、一旦養育費の支払をしなくなると、将来の分も含めて相手方の給料の半分を差し押さえることができますので、非常に有効です。

②婚姻費用分担請求や③養育費の金額については、裁判所のホームページやウェブ上に「算定表」がありますので、簡単にご自身で算定できます。これは実際の裁判でも参考にされるものなので、一応の目安ではありますが、とても参考になります。
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf

前回も書きましたが、離婚せずに幸せな家庭を築くのが理想ではあるんですけどね。
しかし、実際に離婚を考えておられる方、これまでの生活から脱却して新しい人生を歩んでいきたい方、離婚とは切っても切り離せない「お金」の問題について興味がおありの方向けに書かせていただきました。

2014年2月8日土曜日

離婚する方法と離婚の理由について

今日は離婚について書きたいと思います。

近年、3組に1組は離婚はすると言われているように、離婚が増えています。

離婚をするには、主に以下の3つの手続があります。

 協議離婚(当事者同士の話合いで離婚する方法)
 調停・審判による離婚(当事者と調停委員の3者の話合いを中心とした方法)
 裁判による離婚(通常の裁判手続と同様に裁判官の判決による方法)

①協議離婚は当事者の話合いが中心になるので、②調停・審判離婚や③裁判離婚よりも比較的労力が少なく、費用も安く抑えられることが多いです。
もっとも、その後の養育費や財産分与での支払いを確実なものとするために、合意内容を「協議離婚書」として書面化した上で、公正証書としておくことをお勧めします。
また、交渉が難航しそうな場合には、第三者である弁護士を間に入れて話合いをするのも有効です。

また、当事者の話合いがまとまらない場合には、②調停・審判による離婚や③裁判による離婚という段階に発展します。
この段階になると、法律の解釈や判例の知識が必要となります。過去の同じような事案で裁判所はどのように判断したのかという見通しが立たないと、有効な主張ができないことが多いからです。


では、どのような理由があれば離婚することができるのでしょうか。

代表的な理由として挙げられるのが、①「不倫や浮気をした場合」です。

これは自由な意思に基づいて(強制されずに)夫または妻以外の人と性的関係を結ぶことです。
性的関係を結ぶとは姦通行為とされています。単にキスしただけ、抱き合っていただけというのは含まれません。

また、②「婚姻関係が破綻して回復の見込みがない場合」です。

この理由にあたるかどうかは様々な個別事情を総合して判断されます。

代表的な個別事情を挙げると、離婚意思、姦通行為に至らない性行為、長期間の別居、暴行虐待、犯罪行為、不労・浪費・借財等、性交不能・性交拒否、重大な疾病・身体障害などが挙げられます。

その他、上記のものよりは弱いものの、性格の不一致・結婚観・生活観の不一致の程度が大きく婚姻を継続できない場合には、他の個別事情を併せて(単独では認められにくい)、離婚が認められたケースもあります。

どれか一つがあれば離婚できるというわけではなく、これらの要素を総合考慮して「婚姻関係が破綻して回復の見込みがない」といえれば離婚が認められます。

そして、意外とよく問題になるのが、③「強度の精神病にかかり、回復の見込みがない場合」です。

この要件は相当厳しく、相当ひどくないと認められません。単に精神病を患ったというだけで離婚できるわけではありません。

また、たとえ回復の見込みがないとしても、それだけでは離婚理由にはなりません。
それに加えて、精神病を患った方の離婚後の生活が見通しが立つように、できる限りの援助や措置をとっていることが必要になります。

これは、精神病を患った方が悪いわけではないので、その後の生活に見通しが立たない状態で離婚されるのはあまりに酷だからです。

その他にも離婚の理由となるものはあります。また、離婚を考えていらっしゃる方々それぞれに個別の事情がございますので、各家庭の様々な事情に応じて離婚ができるか判断していくものだと考えます。

長々と書きましたが、離婚せずに幸せに過ごすことが一番なんですけどね。
ただ、再出発して人生をやり直したいとお考えの方々、離婚ってどういう場合にできるんだろうと興味関心がおありの方々向けに書かせていただきました。